抹茶で一服
一服しと〜くれやす
平成十六年よもやま話新年特大号
自己流家元・安盛がお送りします,
よもやま史上初!(かなり大袈裟やけど・・・)
動画付よもやま話どす!
あけましておめでとうさんどす。
皆様にはええお正月をお迎えのことと存じます。
本年も
きょうとウェルカム 並びに よもやまばなし を宜しくお願い致します
さて、一服シリーズ第五弾は新年らしく
お抹茶どす!

 皆さん、抹茶と聞いて何を想像しゃはりますか?
 茶道・正座・苦い・堅苦しい・難しい等々が思い浮かぶお方も多いかも知れまへん。長時間正座して、決まり事みたいな会話をボソボソとして・・・傍目に見るとそんなとこどっしゃろか・・・
 ご心配なく!そう感じたさかい言うてそれらは決して間違いやおへん。けど、一番手軽で、インスタントに飲めるのもまたお抹茶どす。固定観念を捨て、ちょっとお抹茶を楽しんでみはらしまへんか?







たまには正座で
KICS茶の湯倶楽部の懲りない面々

 人間たまには背筋を伸ばして、心地よい緊張感の中に身を置くのもこれまたええもんどす。「茶道」というと堅苦しおすけど、「茶の湯」と言うたらちょっとまるう感じます。
 
 さてさて、今日のとこは「心地よい緊張のお茶」は置いといて、ちょっと、「カジュアル」にお抹茶を一服点ててみましょう!
 茶道の心得をお持ちの皆さんにはちょっと片目をつぶってもろて・・・

 一服のお茶を点てるちゅうこと自体はそれほど難しいもんやおへん。茶筅茶碗茶杓と云った最小限の道具は必要どすけど、作業そのものはちょっとしたコツさへつかんだら、むしろ煎茶や玉露を淹れるよりも易しいかも知れまへん。

淹れる=「いれる」とは?・・・急須に入れた茶葉(ちゃよう)に湯を注ぎ、成分を抽出する場合、この「淹れる」という文字を使います。
抹茶を点てるのに最低限必要なお道具は?
 まず茶筅(ちゃせん) これが無くてはお茶が点てられまへん。泡立て器で代用とか、マドラーで混ぜるとか云わはる猛者もおいでどすけど、美味しい一服のためにはこれは必須です。
 お試しだけなら輸入茶筅で、続けるつもりがおありどしたら国産茶筅がお奨めどす。
 国産は輸入の倍以上の値段どすけど、耐久性は四倍以上優れており、一服あたりの単価はむしろ安ぅなります。

 次に茶碗(ちゃわん) これもドンブリ鉢で代用、コーヒーカップで・・・なんて方もおいでどすけど、口あたりが専用の茶碗やと全く違い、同じお茶でもより美味ぃ頂けます。
 初めて買わはる茶碗は、中はベージュ色か黒がよろしおす。抹茶の緑が映えて、見るからに美味しそうに云えるさかいに!
 また茶碗の中は釉薬でなめらかなものがお奨めどす。荒土系統はザラザラしていて器として味わいがおますけど、お茶を点てるのに不慣れなうちは茶筅が早よぅ傷みがちどす。もちろん、多少ざらついてても、それがお好みの茶碗やったらそれはそれでよろしおすけど!

 そして茶杓(ちゃしゃく) お茶の量を量って茶碗に入れます。スプーンで代用も可能ですが、金属スプーンだと何かの拍子で茶碗にあたって欠けてしもた!・・・てこともあり得まっさかいにご用心!
 安いもので十分ですから、是非!
 

 あと、茶巾(茶碗をぬぐいます)と建水(お湯を捨てます)があれば、十分に楽しんで頂けます。(今日のところはそれも代用品で!)
それではお茶を点ててみましょう!
まず今日用意した道具です

茶筅、茶碗と茶杓、それだけが正式な場でも使われる道具どす。
そのほかに、茶巾の代わりに布巾、建水の代わりにお鍋のガラ入れを用意しました。




とりあえず静止画像でどうぞ! 下の方に動画をご用意!


まずお湯を沸かしましょう

 出来たら沸騰ポットよりはやかんでお湯を沸かしましょう!
 ポイントはお湯が沸騰し始めたら、ヤカンの蓋を取ってさらに五分間沸騰させます。これだけでも水道水がかなり美味しぃなります。
 水道水の場合、飲料用の炭と共にボトルに入れ、一晩冷蔵庫で寝かせるとずっと美味しぃなります。

茶碗をしっかり温め、そのあとしっかり水気をぬぐいましょう
  

 沸騰したお湯を茶碗に注ぎます。50cc程度でよろしおす。
 お茶碗を動かしてまんべんのう暖っためます。
 暖ったまったら茶筅を入れ、乾いた茶筅を水気になじませます。そのあとお湯を捨て、布巾でしっかりと水気を拭き取ります。このとき水気が残ってると、「ダマ」が出来る要因になりまっさかいにご用心。これは一つのポイントどす!

茶杓でお茶を入れます

  

 茶杓でお茶を茶碗に入れます。
 基本はひと杓半ですけど、家庭で楽しむならお好みで二杓でも、三杓でもかましまへん。
 茶碗にお茶を入れたら、茶杓でならします。塊があったらほぐしましょう!
 お点前では茶杓の背中で押したりはしませんが、ダマを手っ取り早くつぶせます・・・

お湯を入れます
目安は三口程度で飲める量と思って下さい。
 ただ、本来、薄茶は何口で飲まんとあかん!と言うきまりはありません。沢山飲みたければ多めに、少量がよければ少なめと、ご自身のお好みで加減しとぉくれやす。

 自分が飲むお茶どっさかい、自分本位に楽しんでもろたらよろしおす。

さて、いよいよお茶を点てます
 最初は茶筅の穂先のバネを使ってお茶をほぐすように、すぐに「一の字」を書くように茶筅を振ります。
決してくるくる回しまへん。お茶は混ぜるのと違て、あくまで「点てる」もんどす。

 ここまでは、自由な感覚で書いてきましたけど、この点てる動作だけはしっかりと押さえとぉくれやす。
 また、茶筅の振り方は、手首をきかせるのとは違て、肘から先の腕で点てる感覚でどうぞ。最初はちょっと腕がだるくなりますが、慣れれば手首で点てたお茶よりずっと味わいが深くなります。
 よくテレビで「スナップをきかせて振る」などと言うてるのがおますけど、あれでは小手先の味になってしまいます。お茶は「腕=かいな」で点てるものと覚えとぉくれやす。


湯を入れた直後

出来上がり!

 さて、泡立ちもよく点ってきたら、最後に穂先で表面の大きな泡を切ります。こうしてきめ細やかに(クリームのように)泡が点ったら真ん中から茶筅を抜いて一服のお茶の完成どす。
 茶碗の中心が泡で少し盛り上がった感じがGOODです!


悪い例!
泡が非常に粗く雑

よい例
きめの細かくクリーム状

 またお茶の点て方には泡立ちを押さえる方法もおます。
同じお茶を使っても泡立てたときと、そうでないときでは味わいが異なりまっさかい、両方試してみはるのもおもしろいかも知れまへん。

 ブロードバンドのお方はんは動画もどうぞ
 言い訳、動画の所作がまだまだ固とぅおす・・・「気軽に!」感をもうちょっと出したかったんどすけど・・・皆さんは御自在にのびのびと!

 なお、動画を見はるには下記のソフトが必要どす。
(無料版と有料版がありますのでご注意を!)

Windows Media Player シリーズ (downlevel-version)
日本語

ダウンロード

 動画の読み込みに、Win MP の場合、ADSLやったら5〜7秒くらいかかるかな・・・
 MPG1はもっとかかるようです・・・重くてすんまへん・・・
動画も見てみよか!
for Windows
Windows Media Player

(5,902,858Byte)
MACはこちら
MPG1
音声ナシ・短縮板

(3,082,244Byte)
お話しはもうちょっと続きます!
お茶の飲み方、
  出来上がったら今度は「どないして飲むのん?」と訊かれそうどす。
答えは、「ご自由に!」どす!
楽しんで飲むのに作法は要りません。自分が心行くまでくつろいで、楽しく味わうことが何よりも大切です!
  ただ、そんな中でも、次のことに納得されたらそうして頂く方が良いかも知れません!
・茶碗はまず左手の手のひらに置く、右手はそっと添える。 これで茶碗を落とすと言うことはまずあり得ません。価格にかかわらず大切な道具ですから、両手で扱うのは自然です。

・茶碗を回すべきか?
 何故茶道では茶碗を回すのでしょうか?
 それは、お茶が供される時、その茶碗の一番景色のええとこが正面とされて出されます。大抵は茶碗に絵があったりしまっさかいに、その部分に口を付けるのを「遠慮しておく」と言った意味がおます。
 よく、「三度回しなさい」「右回りで90度」とか言う人がやはりますけど、決まり事はおへん。だって茶碗によって景色はまちまちどっさかいに!
 中には三度回して元の位置なんて御仁も見受けます・・・
 私の流儀では、「絵のない茶碗は回さなくてよい(回す意味がない)」ことになっています。ただ、自分に向けられたのを正面として、それを遠慮する意味で回すといった考えもあるようどす。

一番大事なのは、お茶が点ったらすぐに飲ンどぉくれやす!時間が経ち、冷めるほどに不味くなります!
お茶の選び方、
  そしたら今度は「どんなお茶を選んだらよろしいのん?」との質問が聞こえてきそうどす。
ズバリ、40gあたり1000円がええと思います。
 なんでかちゅうと、一般にどの専門店でも標準中の標準やからどす。
 わずか40gで「1000円」ちゅうたら、「高い!」と思わはる御仁もおいでかも知れまへん。けど、40gあったら薄茶で約20服とれます。一服あたり50円どす。決して「高いもんやおへん」ちゅうのがお茶屋の主張どす。

 1000円のお茶やったら、大体はええ意味での苦みがあって、後口には甘みが広がると思います。
それより安ぅなると徐々に苦みが増し、高こぅなると甘くまろやかになります。
 
左と右、どちらの色
がええとおもわはり
ますか?
お茶の色としては
左が良い色です
色と香りは値段に正比例します。
 色は緑色が深こぅて冴えた感じのするものがよろしおすけどこればっかりはいろいろと場数を踏んで体得するしかおへん。
 ただ、極端に安ぅてミョ〜に鮮やかな色の場合は色粉添加の可能性がおます。
 また、あんまり値段の安いお茶で甘みを感じたら、旨み成分添加(グルタミン酸ナトリウム=味の素の成分)のおそれがおますのでご用心!

 要は自分の足でいろんなお店を回って、お店お人と会話しながら自分のお茶を見付けることどす!「老舗には入りにくい!」「何を訊いてええのんか分からない」とよく耳にしますけど、店は古ぅても中にいる人間は化けモンでも妖怪でもおへん!パソコンもメールもする今の人間どす!どうぞお気軽に!

 余談どすけど、何で中途半端な「40g」が単位かちゅうと、お茶はつい数十年前までは「匁=もんめ」ちゅう単位で売られてました。10匁は今の約37.5gどす。
ちょっと多めに使わはっても40gあったら20服の薄茶、10人分の濃茶がとれるという計算が出来ます。現代人に合わせて他の単位も見受ける昨今ですが、そんなわけで、40g単位というのは古くからの店や、お茶の先生方に馴染みの深い店ほど残っているようです。
 私共がお出入りさせて頂いてるあるお家元は、今でも、「匁」でご注文頂いてます。
お茶うけのこと
 さて、お茶だけを味わって頂くのもよろしいのんですけど、何かお供があれば楽しみも倍増します。
 幸い京都と言う土地はお茶の文化の発達とともにお菓子も歩んできました。
 本来、お濃茶には主菓子(生菓子)を、薄茶には干菓子を添えますけど、やはりお楽しみどっさかいにご自由になさって下さい。
 ただ、コクと甘みのあるええお茶には、上品な甘さのお菓子が、苦みのしっかりした中以下のお茶には甘みのしっかりしたお菓子が合うと思います。

 また、私個人の好みでは、苦み走ったブラックのチョコレートなど抹茶によく合うと一人悦に入ったりすることもおます。
 人様に供するときはそれなりの心配りも必要どすけど、自分が楽しむのにタブーはおへん!
 気に入った味や楽しみ方が一番どす!
 そのためにこそご自分なりにいろいろ試行錯誤してみとぉくれやす。

 おおきに!おやかまっさんどした!

当店ホームページ『蓬莱堂茶舗』もご覧下さい。

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