9月 京都の旬 「家庭で焚き求道」



京料理 割烹 三栄

〜求道技術伝授・その伍 「家庭で焚き求道」 の巻〜

残暑お見舞い申し上げます。それにしても暑いですなぁいつまでも。
みなさま夏バテなどされてませんか?

焚き求道って何???
ちゅうことですが、よくご夫婦のお客様の会話で
ご主人 「家でもこんなふうに野菜の焚き合わせ焚いてくれたらなんぼでも食べれるんやけどなぁ」
奥 様 「ふん!そんなん家で同じもん出来たら料理屋さんいらんやないの。
それにもっと食べに連れて来てくれたら自然と味を覚えるんちゃう?」

と、お話されてます。
確かに焚き合わせはちゃんとすると面倒であり手間を省くと ごっちゃ煮 になってしまうという難儀な代物です。
そこで焚き合せのちょっとしたコツをお話し、お家でも ごっちゃ煮 ではなく 焚き合わせ に挑戦していただき、是非ご主人をあっと言わせていただきたいものです。

今回はひとつの出汁から別々のものを焚くという荒業です。
本来は素材一つ一つに合った出汁を調合するのですが、それを羅列すると そこまでは出来ない、見ただけでやる気が無くなった とおっしゃるお方が多いかと思い、出来るだけ簡単に求道流に近いものをと思案いたしました。

焚き合わせの求道はコチラ→

夏といえば皆さんどのような夏休みを過ごされましたか?
私は未だに夏休みをもらってませんが・・・ トホホ

今年は私の休日、月曜日に各地の毎年日にちの決まっている花火大会が数多く開催されまして、これは実は11年ぶりのことなのですが、それで気張ってあちこちに出かけてきました。中でも日本一の「PLの花火大会」は今年も圧巻でございました。
なんせ一時間の間に12万発もの花火が打ち上げられるのですから・・・といってもピンとこられないでしょうが、各地の最も大きな花火大会で大体2万発です。
しかも90分ほどかけてなのですが、PLは時間も短く、ざっと6倍の打ち上げ数ということでご想像願います。

さて、PLの花火大会は大阪府富田林市というところで開催されるのですが、まぁ京都から普段であれば電車で1時間半ほどの距離です。
当日帰りは大混雑で3時間半かかりましたが、それでも見て損はないと言い切れます。
是非まだ見られたことがないお方は、来年、8月1日に富田林へGO!

話は変わりまして前に「恐るべし大阪のおばちゃん」というお話をさせていただきましたが、 「おもろい!大阪のおっちゃん」 という感想を持つ場面にPLの花火で出くわしました。

それは周囲200mぐらいの溜池を囲む一方通行の道路での出来事でした。
その溜池の100mほどの部分で花火がよく見えるので池の方に足を出して座り込む人、その後ろで座る人、そして車が通るスペース、そしてまた座り込む人、その後ろに立つ人と、ものすごい人が見物に来ておられました。
私ら家族はというと池に足を出して座っている人の後ろに座っており、車が背中5cmほどの所を通るという、まぁ車もノロノロ歩くよりも遅いスピードで群衆の中を抜けていくのですが、まぁ車の人からすれば こんなとこに座り込みやがって ちゅう感じでしょうが、群集からすると こんなとこわざわざ通るなや という一触即発の雰囲気だったのですが、その車のおじさん、窓開けて顔を出し座っている人の背中を引かないように見ながら
ちょっとお兄ちゃん
猫背になってるでぇー
ちょっとの間ピーンとしてみぃ、ピーンと。
その間に通るし!

そして助手席のおじさんも窓から顔を出し、助手席側は体育座りしている人達の足元を通るわけで
あーお嬢ちゃん
足ちょっーと引っ込めて
かわいいあんよがぺったんこなるでぇー
かなんやろ〜
けどお好み焼き足でひっくり返せるなぁ

とか言いつつ通って行かれるので、群集もなんとなく譲り合いで少しづつ詰めたり足を引っ込めたりして、面白いこというおじさんには拍手が沸く始末で、調子に乗り出した次ぎの車のおじさんは
ごめんやして、おくれやして、おくれやっしゃぁ!
(注:大阪名物吉本新喜劇の女優・末成由美さんのギャグ)

ええぞー、パチパチパチ


てなわけで、ちょっとした心のゆとりでみんなが気持ちよく過ごせる・・・やはりお笑いの町大阪ですな。

しかしなんといっても、花火大会が終わったとたん、全員が駅に向かいバッファロー状態になったのは花火大会よりも圧巻でございました。
怖かった〜、けど私・・・実は速かった!手を引いている子供が半分宙に浮いとりましたぁ。


(用意の材料) 4人前
小芋15個程
菊かぼちゃ半分
牛蒡3本
茄子2本
飛龍頭8個
オクラ4本
(用意の調味料)
出汁800cc
みりん100cc
淡口醤油100cc
味の素少々
(追加の調味料)
濃口醤油少々
淡口醤油少々
みりん少々
砂糖少々
塩 小々
少々

(作り方)
まず、飛龍頭の作り方は2005年6月号の井山氏の海老飛龍頭を参考にしていただくとして、また小芋の剥き方は2004年9月号の求道の小芋の剥き方ちゅうところを参考にしていだくとして重複する部分は割愛させて頂きます。
また茄子はきれいに見えるよう「翡翠茄子」という高度な手法にて皮をミリ単位で剥き調理しておりますが、これを真似してくださいというのは酷ですので、ご家庭では皮付きのままでよろしいかと思います。

下処理編

  1. 茄子は1本を二等分にぶつ切りにし、お箸で切り口からブスブスと穴をあけます(両面)。
    そして175度に熱した油に放り込み中火で中がふにゃとする程度に揚げます。
    高温すぎると焦げますので火の調節にご注意ください。
    揚がりましたらボールに溜めた水にさらします。

  2. 菊かぼちゃは適当な大きさに切り分け、皮を一部剥いて、水から湯がきます。
    爪楊枝がすぅーと通れば水にさらします。

  3. 小芋は皮を剥き、水から湯がきますが少量の糠を一緒にいれて湯がいてください。
    これも爪楊枝がすぅーと通れば水にさらし糠が落ちるようよく水洗いしてください。

  4. 牛蒡は大まかに土の汚れをたわしなどで取り除き適当な大きさに棒状に切り分けます。
    水から約15分ほど湯がいたら水にさらしてください。

  5. オクラは軸を切り取り、縦に半分に割り中の種を取り除きます。
     沸騰したお湯に放り込み30秒ほど湯がき水にさらします。


味付け編

上記の用意の調味料をぴっちり計り混ぜ合わせて一旦沸騰させます。
これがベースになる出汁です。
以降、元出汁とします。

1:茄 子
元出汁を200cc取り出し鍋に入れ
淡口醤油中さじ 1
みりん中さじ 1
砂糖小さじ 1
と追加の調味料入れ、よく水気を取った茄子を入れて、沸騰後約5分ほど煮含めます。

2:菊かぼちゃ
元出汁を200cc取り出し鍋に入れ
淡口醤油中さじ 1
みりん中さじ 1
砂糖中さじ 1
と追加の調味料入れ、よく水気を取った菊かぼちゃを入れて、沸騰後約5分ほど煮含めます。

3:小 芋
元出汁を200cc取り出し鍋に入れ
大さじ 1
一つまみ
砂糖中さじ 1
と追加の調味料入れ、よく水気を取った小芋を入れて、沸騰後約5分ほど煮含めます。

4:牛 蒡
元出汁を200cc取り出し鍋に入れ
濃口醤油大さじ 1
みりん大さじ 1
砂糖大さじ 1
と追加の調味料入れ、よく水気を取った牛蒡を入れて、沸騰後約8分ほど煮含めます。

5:飛龍頭
元出汁を200cc取り出し鍋に入れ
淡口醤油中さじ 1
みりん中さじ 1
砂糖大さじ 1
と追加の調味料入れ、よく水気を取った飛龍頭を入れて、沸騰後約5分ほど煮含めます。

6:オクラ
オクラは冷めた小芋の出汁に浸けておけばよいかと思います。


以上。

一旦出汁に浸けたまま冷まし、再度温めて召し上がってもよし、冷たいままでもよし、お好みで。
柚子や木の芽を添えますとさらに求道、じゃなくてGOOD!



こうやって書いてみるとやっぱり面倒くさい感じですねぇー!
しかし慣れればなんでもございませんので
頑張ってくださいまし〜。

五条料理飲食業組合  割烹三栄 若主人 清水敏夫







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