1月の食材 「九条ねぎ」




〜ひとり鍋〜

明けましておめでとうございます。

旧年中のご愛顧を感謝しつつ皆様のご多幸をお祈りいたします。
本年度はさらにこの料理コーナーを充実したものにすべく、井山氏とともに研鑚していく所存でございますので、どうかよろしくお付き合いの程お願い致します。

さて、今月の素材は 「九条ねぎ」 関西を代表する青ねぎの主流です。
京都市は南区九条辺りが主産地であったことから「九条ねぎ」という名を冠しております。
その歴史は古く、稲荷神社の建立の頃(711年)浪速(大阪)から種を取り寄せ栽培し始めたと記録に残っております。

その九条ねぎを使ったお料理、かつ、先月号で井山氏が「ポン酢」をご紹介いたしましたので、ポン酢でいただくお鍋、このふたつの条件を満たすものをと考えてみました。

そこで求道料理人清水が好んで食べる 「ひとり鍋」 なるものをご紹介したく存じます。

わたくし仕事の性格上夜が遅く、家族とは別に夕食をいただくことになるのですが、寒〜い冬場はやはり暖かい物がほしくなります。
そこでひとりで少しづつの量を自分のペースで、熱々でいただく 「ひとり鍋」 に一昨年からはまっており、一週間に一度二日続けて食べております。
二日というのは単に材料が食べきれないので、二日に渡って消費しておるわけです。
そのお鍋ですが下記の材料と調理法を見て頂きますとお分かりいただけると思いますが、単なる「水だき」でございます。
しかし、 「えー、ウィンナー?お揚げ?」 と思われるかもしれませんが、疑うことなかれ。
ポン酢に抜群に合います。

わたくし家に帰ってきて豆腐、ウィンナー、薄揚げ、薬味のねぎの4点セットのどれかひとつでも欠けていようものなら、そう、妻が あー今日ウィンナー、子供のお弁当に使ったし無いよ と言うその無いよのを聞く前に普段温厚で有名なわたくし ですが、ちゃぶ台をひっくり返し なんでこうとかへんねん(買っておかないのか)、知っとるやろがぁー好きなんを、 ガァァーッ! と絶叫したくなります。
しかし、絶叫しません。ましてちゃぶ台などひっくり返しません。
それはー、ほれ、それぞれ家庭の事情というものがありますので、ご推察を。
しかし、4点セットがなければ鍋を食べる意味がないと思っておりますので、すぐにバイクに飛び乗り24時間開いてるスーパーへ
ガァァーッ! ウィンナーァッ!
ほしいぃー! ボケーッ!
と先ほど絶叫できなかったうっぷんを晴らしつつ直行いたします。
そういうお鍋ですので、是非皆様お試しください。
当然大きな鍋でみなさんでワイワイ言いながらでも結構です、その場合は材料の量をそれぞれ増やしてください。

また材料が余りましたら、次の日は 求道流「チゲ鍋」 で材料は余ったものそのまま使えてお味はアジアンテイスト。
こちらも是非お試しください。



(一人前)
(鍋の材料)
鶏もも肉200g
薄揚げ1枚(大判の揚げなら半分)
豆腐半丁
ウィンナー5.6本
白菜2枚程度
九条ねぎ1本
エノキ1/2袋
昆布1枚
(薬味の材料)
ポン酢適量
大根おろし少々
刻みねぎお好みの量を
(九条ねぎの青い部分を刻んでください)
七味お好みで



調理法
  1. 鍋に水を張り、昆布を一枚入れて蓋をし沸騰するまで火にかけます。
  2. 沸騰しましたら弱火にし蓋を取り、昆布が びろーん と大きく伸びておりましたら取り除いてください。
    まだ びろーん としてませんでしたら、もう少し煮てください。
  3. 昆布を取り除きましたら、まず鶏肉、豆腐、白菜を入れて煮立てます。
    再度沸騰してまいりましたら、ウィンナー、エノキ、薄揚げをいれ、最後に九条ねぎを入れます。
    ねぎがしんなりしてまいりましたら、出来上がりです。

ポン酢に大根おろし、刻みねぎを入れ穴あきお玉で鍋の具をすくいながらお召し上がりください。
刺激のほしい方は七味をポン酢に入れていただけばよろしいかと存じます。



求道流チゲ鍋の法  (一人前)
  1. 鍋に水を700cc張り、その量に見合った中華出汁の素を入れます。
  2. 味醂50t、淡口醤油50tを入れ、好みの量の辛み成分を入れます。
    粉末でも、スープ状のものでも、ペースト状のものでも何でも結構です。
    よくかき混ぜて火にかけます。
  3. 少し沸いてきましたら、材料は上記のものと同じで、また材料を鍋に入れる手順も同じです。
  4. この鍋は出汁と一緒に具を器に盛り付けお召し上がりください。




最後になりましたが、以前わたくしは 「鍋ラビリンス」 または 「鍋地獄」 という状態に陥ったことがあります。
それは余った材料を次の日に使うのはいいのですが足りないものを買い足しますとまたその日買い足した材料が余り、次の日もまた鍋やなと思っていると、どうしても無いと許せない材料があり、それを買い足すとまたまた買った材料が余る、次の日も鍋、鍋、鍋・・・という循環を 繰り返し一週間 「ひとり鍋」 食べたことがございます。

お気をつけくださいまし。

それでは皆様よいお正月をお過ごしくださいませー。


五条料理飲食業組合  割烹三栄 若主人 清水敏夫