さて、当メルマガ恒例のミステリースポットの季節となりました。
ある時は「求道料理人」またある時は「ミステリー探検隊員」・・・
その正体は「たんなるいっちょかみのうれしがり」
というわけで、わたくしも取材についていったりしてますので、今回は料理コーナーも怖〜い?お話をと思っております。
和食の料理人にとって(・・・わたくしが単なるびびりんちょんなだけかもしれませんが)怖いと言えば、鱧、オコゼ、すっぽん、この三匹は
怖い怖い
いつもわたくしおもらし寸前で格闘しております。
まず鱧。
水槽から鱧を揚げて〆る(首の骨を切る)作業ほど怖いものはありません。
なんせ鱧の歯は鮫の歯のようにするどく、獰猛で目の前に手でも出そうものなら、噛み付いてきます。
また噛まれたら最後離しません。
わたくし修行中に鱧に噛まれたことがあるのですが噛まれると痛いのなんの激痛が走ります。
また体がヌルヌルしているのですべるにもかかわらず、海水から揚げると信じられないほど暴れます。
まるで爆竹の束が破裂しているように。
もう髪の毛が逆立つほど怖い怖い。
次にオコゼ。
オコゼの背びれには猛毒があり、刺されたら病院行きです。
先輩でオコゼに刺され病院に行き、骨折した時のように三角巾で手を吊って帰ってこられた方がいらっしゃいましたが、一週間「痛い痛い」と泣いておりました。
オコゼは生きてる間に先ず背びれを切り取る作業をするのですがこのオコゼもめちゃくちゃ暴れます。
しかもS字型にくねくねと不規則に暴れるので怖い怖い。
ですからあのぶっさいくな顔のおでこあたりを出刃包丁の峰のほうで、
ボコボコ
にどつきたおします。
すると失神しておとなしくなるのです。
経験上、憎たらしい先輩の顔を思い浮かべながらどつく
と、すぐにオコゼは「ぽてっ」と動かなくなります。
その間にさっと背びれを取り除くのですが、途中でオコゼ君は痛いのか目を覚ますときがあるので、その時はまた
ボコッ!
あまり暴れるとついカッとなり「コラーッ!○○」とついつい人名を口走ってしまい、
背びれを完全に取り除くまでは色々な意味で怖い怖い。
最後にすっぽん。
これは皆様もご承知の通り、噛み付いたら雷が鳴るまで離しません。
力も強い強い。また的確にわたくしの手先を狙って噛み付いてきます。
ですからすっぽんの首を切り落とすまではまさに格闘です。
修行先(大阪淀屋橋)のお店では冬になると常に10匹ほどすっぽんを水槽に入れてストックしていたのですが、ある夜コンビ二から帰ってくると、なんとこの静まり返ったオフィス街に
ガメラ
が現れたのです。
目をこすってよく見ますとすっぽんが道を歩いたのでした。
あれっと驚愕しつつも見ていますと、どうもこれはうちの店から逃亡したすっぽんのようなのです。
捕まえて店に戻ってみますと、案の定水槽の蓋が開いており、中を見ると今にもまた一匹が逃亡せんとしていました。
彼らはすっぽんの上にすっぽんが乗り、そのまた上にすっぽんが乗るというように
仲間の自己犠牲
によって逃亡者は蓋のところまで登り、蓋を押し開け逃亡していたのです。
なんという仲間愛☆まるで我がKICSのスタッフのようなのです。
その愛に感動し、すっぽんを逃がしてやれば感動秘話なのでしょうが、「バシッ」と蓋を閉め巨大な漬物石を乗せました。
二度と逃亡できぬように、フッフッー。
って今気がついたのですが、まるで怨霊を土中に鎮め、封印するために置くお地蔵さんのようですな、巨大な漬物石は。