8月の素材「冬瓜」
「冬瓜の鶏そぼろあんかけ」

判で押したように毎年暑い夏ですが、皆様いかがお過ごしですか?

暑い〜 と今年は何回ぼやきましたか?
覚えている人がいたら・・・ ある意味すごい。

そこで字のイメージだけでも涼しくと今月の素材は 冬瓜

夏なのに冬の瓜。
一説には夏に収穫した瓜を冷暗所においておくと冬まで保存しえたため冬瓜と名がついたとか。
しかし、冷蔵庫に保存しているにもかかわらず、2週間もすると腐ってくるのは、
なんでだろう?なんでだろう??
また別名「加茂瓜」といいます。
なぜ加茂瓜か?ちょっと調べてみたのですが判りませんでした。
しかし、暑いから詳しくは調べません。

すいません。

冬瓜の原産地はジャワといわれ、中国では古代より栽培されていました。
日本には中国から朝鮮半島を経て、4世紀頃に伝えられたということで、古くから体の熱をとる食物として食用されていました。
またビタミンCが豊富に含まれておりますので、今回は鶏のミンチとの組合せで、夏バテ防止に是非お召し上がりください。

さて、当メルマガ恒例のミステリースポットの季節となりました。

ある時は「求道料理人」またある時は「ミステリー探検隊員」・・・
その正体は「たんなるいっちょかみのうれしがり」
というわけで、わたくしも取材についていったりしてますので、今回は料理コーナーも怖〜い?お話をと思っております。

和食の料理人にとって(・・・わたくしが単なるびびりんちょんなだけかもしれませんが)怖いと言えば、鱧、オコゼ、すっぽん、この三匹は 怖い怖い
いつもわたくしおもらし寸前で格闘しております。

まず鱧。
水槽から鱧を揚げて〆る(首の骨を切る)作業ほど怖いものはありません。
なんせ鱧の歯は鮫の歯のようにするどく、獰猛で目の前に手でも出そうものなら、噛み付いてきます。
また噛まれたら最後離しません。
わたくし修行中に鱧に噛まれたことがあるのですが噛まれると痛いのなんの激痛が走ります。
また体がヌルヌルしているのですべるにもかかわらず、海水から揚げると信じられないほど暴れます。
まるで爆竹の束が破裂しているように。
もう髪の毛が逆立つほど怖い怖い。

次にオコゼ。
オコゼの背びれには猛毒があり、刺されたら病院行きです。
先輩でオコゼに刺され病院に行き、骨折した時のように三角巾で手を吊って帰ってこられた方がいらっしゃいましたが、一週間「痛い痛い」と泣いておりました。
オコゼは生きてる間に先ず背びれを切り取る作業をするのですがこのオコゼもめちゃくちゃ暴れます。
しかもS字型にくねくねと不規則に暴れるので怖い怖い。
ですからあのぶっさいくな顔のおでこあたりを出刃包丁の峰のほうで、 ボコボコ にどつきたおします。
すると失神しておとなしくなるのです。
経験上、憎たらしい先輩の顔を思い浮かべながらどつく と、すぐにオコゼは「ぽてっ」と動かなくなります。
その間にさっと背びれを取り除くのですが、途中でオコゼ君は痛いのか目を覚ますときがあるので、その時はまた ボコッ! あまり暴れるとついカッとなり「コラーッ!○○」とついつい人名を口走ってしまい、
背びれを完全に取り除くまでは色々な意味で怖い怖い。

最後にすっぽん。
これは皆様もご承知の通り、噛み付いたら雷が鳴るまで離しません。
力も強い強い。また的確にわたくしの手先を狙って噛み付いてきます。
ですからすっぽんの首を切り落とすまではまさに格闘です。
修行先(大阪淀屋橋)のお店では冬になると常に10匹ほどすっぽんを水槽に入れてストックしていたのですが、ある夜コンビ二から帰ってくると、なんとこの静まり返ったオフィス街に ガメラ が現れたのです。
目をこすってよく見ますとすっぽんが道を歩いたのでした。
あれっと驚愕しつつも見ていますと、どうもこれはうちの店から逃亡したすっぽんのようなのです。
捕まえて店に戻ってみますと、案の定水槽の蓋が開いており、中を見ると今にもまた一匹が逃亡せんとしていました。
彼らはすっぽんの上にすっぽんが乗り、そのまた上にすっぽんが乗るというように 仲間の自己犠牲 によって逃亡者は蓋のところまで登り、蓋を押し開け逃亡していたのです。
なんという仲間愛☆まるで我がKICSのスタッフのようなのです。
その愛に感動し、すっぽんを逃がしてやれば感動秘話なのでしょうが、「バシッ」と蓋を閉め巨大な漬物石を乗せました。
二度と逃亡できぬように、フッフッー。
って今気がついたのですが、まるで怨霊を土中に鎮め、封印するために置くお地蔵さんのようですな、巨大な漬物石は。

ひぇ〜〜こわっ〜!

(かなじつけのようではずかしいです。)
というわけで、すっぽんはこのように知能も高く、まさに強敵で
わたくしにとっては 怖い怖い 存在なのです。

以上、 怖い怖い シリーズでした。


(用意する材料) 2人分

冬瓜1/8切れ
鶏ミンチ150g
土生姜ひとかけ
片栗粉大さじ1杯


(調味料)
冬瓜煮
出汁150cc
大さじ1杯
みりん大さじ1杯
淡口醤油大さじ1杯
味の素少々
鶏ミンチ煮
出汁200cc
みりん小さじ2杯
砂糖小さじ1杯
淡口醤油大さじ1杯

(調理法)
  1. まず冬瓜を3cm四方に切り取り中心の種がついている部分は多めにざっくりと切り取り3cm四方、高さが2cmぐらいの立方体に仕上げます。
    そしてできるだけ薄く皮をむいて、緑色を削らないようにしてください。
    緑色が濃いほうが綺麗な仕上がり具合となりますので。
  2. 皮をむいた冬瓜を鍋に入れ、水から湯がいてください。
    この時緑色の方を水の中に向けるよう向きを変えてください。
  3. 約10分ほど湯がくのに時間がかかりますが、目安は爪楊枝がすーっとささるぐらいのやわらかさまで湯がいていただきたいのです。
  4. 湯がけましたら水にさらし、粗熱がとれましたら水気をかるくふきとって、鍋に入れなおし、上記の冬瓜煮の調味料の分量で沸騰してから3分ほど弱火で焚きます。
  5. 焚きあがった冬瓜は冷ましておき、ある程度冷めたら冷蔵庫に保存してください。
  6. 鶏ミンチ煮の調味料を鍋に入れ火にかけるのですが、その時に土生姜をひとかけほど細く刻み、ミンチより先に出汁の中に入れある程度出汁が沸いてきたらミンチを入れてください。
  7. ミンチが固まってダマにならないよう、しゃもじなどでかき混ぜながら約5分ほど中火で煮てください。
  8. 5分ほど煮ましたら大さじ1杯の片栗粉を適量の水でとき、それをミンチの中へ少しづつ入れながらよくかき混ぜ、少々粘性が出てきたら出来上がりです。
  9. このミンチも冷ましておき、ある程度冷めましたら冷蔵庫に保存してください。
    冬瓜、ミンチ共に約3時間ほど冷蔵庫で冷やされるのがおすすめです。


 十分に冷えた冬瓜の汁をきり器に盛り付け、上から冷えたミンチの どろっ としたものをかけて出来上がりです。



食欲の減退されている方には是非おすすめです。

ちべたーい

のがよろしいかと思いますので十分に冷やしてお召し上がりください。

五条料理飲食業組合  三栄・清水敏夫