メールマガジン購読会員様だけにお送りする「名物店主・店員数珠つなぎ」シリーズ第弐四弾


コダワリの男
「祇園・大原女家」 岸本行正 さんの登場です。

四条通りの北側を縄手から東へ、
唐破風の大きな屋根の入口のある老舗が『大原女家』だ。

京の北、大原の大原女に屋号は由来し、代表銘菓も大原は八瀬のかま風呂に似せた焼菓子、名も「かま風呂」だ。
他に「わすれ傘」がある。

東山山麓知恩院の御影堂の軒に見える左甚五郎が忘れて置いていったという骨ばかりの傘を菓子にした。
その仕事は店主、珠玉のセンスだと思う。

大原女家は又、この祇園四条通りにあって、甘党茶寮の草分けでもある。

昨年南座横に鼓月が開店してこの通りも甘党通りとなった。
北側西から大原女家、祇園小石。
南側に茶寮都路里と四軒が鎬を削るが、大原女家こそ祇園の元祖甘党だ。


さてその店主は岸本行正くん

最近まで祇園商店街振興組合の理事を務め、"きょうと情報カードシステム"の担当理事として、電脳時代の先端的役割をこなしていたのである。

当商店街でこの仕事で彼の右に出る者はおらず、事情で役を降りたとはいえ、パソコンが凍りついた時などはまさに救世主となるのだ。
困るのはパソコンを自分勝手に使い易いようにカスタマイズしてしまい、後の者が右往左往する事が多くあるが・・・
しかし彼こそ、商店街という組織に無くてはならぬ存在で、「帰って来いヨ〜」の声は高く、まさにこれからの時代の人物だ。

今は事業に専念しそのセンスは経営にキラリと光る。

二階で京料理を賞で
一階奥で甘党にほっこりし
表で京菓子を下げて帰る。



店主のハートが生きている。

ところで、大原女は平安時代の終わり頃より大原の里から炭・柴を頭上にいただき、京の街に売りに出たと言う。
今でも時々手拭を姉さんかぶりにして独特の姿で、リヤカーを曳いて振り売りに出る女(ひと)がいる。
年末から春にかけて、冬はすぐき、春は菜の花漬けを売り歩く。
酒呑みを知ってか毎年顔を出してくれる。
そのすぐきで酒をやる、これがたまらない。
燗鍋があれば炭を熾して火鉢で直燗がいい。
ほこりをかぶった銅壺を出して炭火を入れて湯を沸かしゆっくりと呑み口のまるい燗も又いい。

すぐきが終われば菜の花だ。燗鍋を上げた後は鉄網をひいて、かたくちいわしの丸干しだ。
程よく干せた丸干しが炙られて柔らかさが少し戻り、まだ口答えするくらいが丁度で、噛めば潮の香りと塩の妙味を酒が洗う。
徳利は丹波の海老徳利で一合五勺から二合近く入るのが、酒呑みにはありがたい。
猪口は口の広い大振りの盃でさらりと干す。
口直しに「かま風呂」があればなおいい。


こんな酒呑みに店主岸本くんを誘い込もうとするが、
彼はあの小さな体躯にも似合わぬ大きなGT−Rという大きな車の大きなシートに身を埋めて、爆音高らかに祇園を去るのだ。

昔、走り屋だったそうな…。

一方、愛内里菜にクビッタケ〜♪という面もある。

「帰って来いヨ〜」


文章 : 祇園・いまにし

地図
大原女家通販ページ
http://www.kyoto-wel.com/shop/S81098/index.html


大原女家ホームページ
http://www.oharameya.co.jp/


祇園商店街ホームページ
http://www.gion.or.jp/