【朗読CD】太宰治：富岳百景/ヴィヨンの妻/桜桃/逆光（ＣＤ３枚組）

太宰治の代表作『ヴィヨンの妻』と、随筆とも称される『富岳百景』、さらに印象的な短編『桜桃』『逆光』の４編を収録。
太宰治の私小説ともいうべき４編には、生前の彼の内面が映し出されている。
人生という道のりを歩く自分の今と、なんとなく思い浮かべるこうありたい自分。その狭間で困惑する人間を描く。

富岳百景

【朗読】石原玲　【収録】約64分
「富士には、月見草がよく似合う」の名文句で知られる。心機一転を期して甲州山梨に滞在する主人公。最初はあまりよい印象を持たなかった富士の眺めだったが、人々との出会いや自分への問いかけ、結婚の決意などを通じ、新たな思いを抱くようになる。

ヴィヨンの妻

【朗読】石原玲　【収録】約78分
自堕落な生活を続ける詩人・大谷を夫に持つ『私』。夫の借金を払うため小料理屋で昼夜働き、大谷は時折理由をつけて顔を出す。そんな毎日にいつしか幸せを感じるようになる。そんなある日、大谷はある新聞の記事に目をとめて・・・。ヴィヨンは様々な悪行を重ねた末、懺悔や反省を詩に詠んだフランスの詩人。

桜桃

【朗読】大河内葉子　【収録】『逆光』と合わせ約65分
太宰治の好物だったサクランボ＝桜桃を冠した短編。育児に神経と体力をすり減らし、遂には逃げ出してしまう夫の心情を淡々と綴った作品。冒頭の『子供より親が大事、と思いたい。』の一言と、妻や子供を家に打ち捨て、己のみ桜桃を頬張る罪悪感の対比、人間味を感じる作品。

逆光

【朗読】大河内葉子　【収録】『桜桃』と合わせ約65分
死を迎えた老人。まだ二十五歳だが、その身体もその精神も当の昔に老いさらばえ、終りを迎えようとしている。彼の人生を遡り、転機となった３つの瞬間に思いを馳せる。独特の味わいとプロットが光る秀作。