《朗読CD》　江戸川乱歩：人間椅子 ／ 屋根裏の散歩者（CD３枚組）

　大正から昭和にかけて活躍した推理作家・江戸川乱歩。怪人二十面相や少年探偵団の印象が強い江戸川乱歩だが、本来はエロ・グロ・猟奇・残虐趣味のけっこう強い作風で、後世の怪奇小説や幻想文学、官能小説にも大きな影響を与えた。実際に探偵業にも従事していた江戸川乱歩は冷徹なまでへの人間への観察眼を持っていた。倫理観や社会通念を超え、どす黒く沈殿した人間の闇の感情を、赤裸々に引きずり出した江戸川乱歩の小説群。それはあからさますぎて嫌悪感や被虐感を伴うが、我々が人間である限り自らの中にも存在を自覚せざるを得ない非社会性なのだろう。
全３時間９分収録。朗読は女性朗読家wis。

屋根裏の散歩者

発表当時から世間の人々より非難を浴びた、江戸川乱歩の密室殺人事件の傑作。屋根裏の散歩で２０人もの下宿者の意外な私生活を覗き見ることが一番の快楽となった一人の男。この男が犯した犯罪とは・・・。

人間椅子

映画化もされた悪寒が走るも何か物悲しい怪作『人間椅子』。ある日、椅子職人はホテルからの注文で作った大きな肘掛け椅子の中に忍び込もうと考える。皮一枚隔てて触れる肉体の感触に陶酔し、甘美な時間を味わう椅子職人。やがて、その椅子はある女流作家の洋館へと引き取られていく・・・。