宇治茶で一服
一服しと〜くれやす
今回はかなり辛口、商品情報PartV
宇治茶とはどんなお茶でしょう?
お茶に於ける産地呼称の問題
偽物を掴まされないために
 最近、某大手食品メーカーの騒動を発端に、さまざまな生鮮食品で産地詐称の問題が社会問題となっております。
 そこで、茶飲み話としては少々硬くなりますが、宇治茶に当てはめて産地のことを呟いてみようと思います。
 言うまでもなく「宇治茶」はお茶の高級産地ブランドです。しかしながら、ブランドには常に偽物がつきまとうことも事実のようです。
 まずお断りしておきたいのは、これから述べることは、日本茶業発祥の地として、伝統のもと連綿と受け継がれてきた、「宇治茶」とはどう云うものかと言うことです。
 日本茶には他に多くの産地があり、それぞれに気候風土に合わせたお茶が作られています。それらにはそれぞれの特徴があり、一目も二目も置くものです。ただ、日本中のお茶が全て同じではつまらないと思います。宇治茶には他に比類無き特徴があり、一般消費者の皆様方でも簡単に見分けることが可能です。
 
伝統的な本物の宇治茶とはどういうものか? 宇治茶をお求めになる時のご参考になれば幸いです。
宇治茶の定義付け
宇治茶って一体何?
 ☆ 一番緩やかな定義(実は無意味)
 宇治茶の名のもとに販売されているお茶。言うまでもなく、これはアテになりません。中に入っているお茶は他県産のものであることが稀ではなく、最近では海外産のものまでが混入(あるいは全部)していることもあるようです。

 ☆ 緩やかな定義(最大派閥)
 京都に於いて、ブレンドされたお茶。但し宇治茶含有率が「ゼロ」もあれば大半を占める場合もあります。
 この際、含有率よりも、宇治茶と呼ぶにふさわしい香味があるかどうかが大切です。
 消費者の皆様には、やはりこれでも「産地詐称ではないか!」とお思いになる方も多くおいでだと思います。ただ、茶業界の長老曰く、「江戸時代の書物に宇治茶の定義が見受けられ、『宇治茶とは、宇治茶師が合(ごう=ブレンド)した茶を云う」とのことで、一定の鑑定眼のもと、それなりの質を備えていたものを宇治茶と呼んだようです。


 ☆ 言葉通りの定義(でもまだ問題もあり)
 京都府南部、宇治市及びそれを囲む郡部(京都府綴喜郡が中心)で産出される日本緑茶のこと。但し、京都で作られたから優れているとは限りません。
 宇治古来の製法を守っている生産家もあれば、新しい手法を積極的に取り入れている農家もあります。その新しい手法には、改善もあれば改悪もあり、見極めが大切です。
 なお、奈良県・滋賀県産のお茶を含むこともありますが、県境は人間が引いたもので、気候風土・製法はおおよそ近いものがあり、また古来から宇治茶としても流通していたようです。

 ☆ 厳格な定義(宇治茶と呼ぶにはこうあって欲しい)
 京都府南部産と言う意味では、上記「厳格な定義」と同様ですが、その中で茶摘みのあとの「蒸熱=発酵を止めるための蒸す作業)を必要最小限にとどめて製茶したもので、仕上がったお茶の外観は標準的な煎茶の場合、写真−1 のように見えます。
 最近、写真−2 のようなお茶を最近よく見受けますが、これは深蒸し茶と申しまして、宇治茶が本来とるべき姿のお茶とは異なります。


 また、湯呑に注いだお茶の色(水色=すいしょく)は、写真−3のような色が本来の宇治茶であり、写真−4 は宇治茶としては異常な色です。
 京都府南部で生産され、写真−1・3 のように仕上がったお茶が、厳格な意味での宇治茶です。対して、写真−2・4 のようなお茶は例え京都府で生産されていようとも、宇治茶と呼ぶべきではないでしょう。

写真−1
宇治茶本来の形状
茶葉がしっかりと締まり、粉や茎をしっかりと抜いてある
。色は深い緑色に揃っている。
写真2
深蒸し茶の形状
茶葉が砕けてしまっており、粉が全体の大半を占める。色は黄緑色で不揃い。
   

写真−3
宇治茶本来の水色
山吹色で茶碗の底までがくっきり透明
この色でも味にはコクがある
写真−4
本来の宇治茶(仕上茶)にはあっては
ならない水色
緑色で不透明、またはに濁った色
濃厚そうで実は淡泊
深蒸し茶(ふかむし)とは
宇治茶に深蒸し茶があるべきでない理由
 深蒸し茶が考案されたのは、今からおよそ30数年前と聞き及んでいます。誕生のきっかけは、静岡県のあるごく一部の地区のお茶によるものでした。その地区のお茶は大変苦渋味が強く、飲みづらいものだったそうです。
 そこで当時の研究機関が試行錯誤の末、考え出したのが「深蒸し製法」と云うもので、摘み取った生葉を通常のお茶よりも310倍程度も長い時間をかけて蒸してから製茶にかかるというものです。そうすることによって、苦渋味がやわらぎ、味のまるいお茶を作ることが出来ました。
 
 
ところが、時代の変遷とともに深蒸し茶を生産する目的が変わってきました。
 ここ数年の緑茶ブームにより、これまでお茶を飲まれなかった方がお飲みになるようになりました。このこと自体はお茶を商う者として歓迎すべきことなのですが、それらの方の中に、前項写真−3のようなお茶をご覧になって、これは「緑茶ではない!黄色いではないか!」とおっしゃる方がおられるのです。そういう方々にとっては、写真−4のようなものこそが緑茶なのです。そしてそのようなお茶の代表が深蒸し茶です。
 つまり
「緑色に濁るお茶」と云う消費者のニーズが発生したのです。

 さて、深蒸し製法は前述の通り、苦渋味の強いお茶を程良く和らげるための製法です。ですから、元来味の柔らかな宇治茶で深蒸しをするとどうなるか?言うまでもなく気の抜けたようなコクのないお茶が出来上がります。深蒸し茶はコクがあると言われますが、実はコクがあるのではなく、湯呑に出てきた
粉のざらつきを「コク」と錯覚しているのです。
 湯飲みに出たお茶が緑色に見えるのは、急須の網を通ってこの粉が湯飲みに出てきて、光に乱反射して緑に見えるのです。当然濃く見えます。人間そう見えてしまうと、そのように錯覚して飲んでしまいがちです。ならば、価格の高い深蒸し茶をお求めにならずとも、安価な粉茶(こちゃ=「最近お寿司やさんのお茶」とよく言われます)で十分です。
 
 写真−3のように
水が山吹色に澄んでおり、口に含むとしっかりコクのあるお茶こそが宇治茶の真骨頂です。
 
 私は、「深蒸し茶」の存在を否定するものではありません。それなりの生産者が信念に基づいて生産していたり、それを要望される消費者の方々もおられるわけです。ただ、売り手のモラルとして、深蒸し茶を売る以上は最低限産地を偽らず、例えば堂々と「静岡茶(産)」「狭山茶(産)」と表示すべきと考えます。
 京都の農家が作った深蒸し茶…迷うところですが、百歩譲って「京都産深蒸し茶」表示と言ったところでしょうか。少なくとも「
宇治茶」表示では店頭に並べるべきではないと思います。
もっと怖い濁るお茶
このお茶だけには注意しましょう
グレ茶ムの法則
「悪貨は良貨を駆逐する」経済で有名な、「グレシャムの法則」です。
 私は
「グレ茶ムの法則」と言う言葉を思いつきました。
 
「悪茶は良茶を駆逐する」 そうならないように、お茶を商う者としましては、消費者のニーズには耳を傾けながらも、同時にお茶の本質も守り伝えて行かねばならないと思います。

 前述の濁るお茶は、あくまで深蒸し茶であって、添加物等は入っておりません。その意味では日本茶のひとつのスタイルと言ってもいいでしょう。お口に合えばどんどんお飲みになれば結構です。ある意味では粉を摂取すると言うことは、食物繊維を摂っているのと同じと言えなくもないからです。

 ところが、最近、
「お茶を緑色に見せる」ために、何らかの着色料が混ぜてある場合があります。
 天然という意味から抹茶を混ぜてあるお茶までは可としましょう。(私は絶対に扱いたくありませんが…)
 ここで注意しないといけないのは、抹茶入りでも
妙に甘いお茶です。勿論、ごく上質の抹茶と言うものは旨味や甘みを多く含んでいます。でもそれは良い意味での苦みの中に見いだすものです。しかるに昨今、ただ甘いだけの抹茶入りのお茶が横行しています。これは「グルタミン酸ナトリウム」(言うなれば化学調味料)を添加を疑って間違いありません。勿論、お料理にも使われるものと成分は同じですから摂取しても害はないかとは思います。でも、売り手のモラルとして添加物表示は必要と思われます。

 論外なのはいわゆる合成着色料を表示なしで使っている場合です。
 一見毒々しく見えますので、見分けはつけやすいのですが、お求めになってしまってからでは遅いですから…
 さて、どういったお茶を「宇治茶」と呼ぶかはそれぞれの判断です。本来、お客様にとって大切なことは、おそらく「宇治茶」であることではなく、「美味しいお茶」であるはずだからです。
 ただ、鎌倉時代より、宇治茶というブランドは連綿と受け継がれ、名実共に日本茶の最高峰の一つであることは間違いのない事実です。私は前述の「もっとも厳格な定義」の立場をとるものですが、それに恥じないお茶造りとその普及を心掛けたいと思っております。

 お茶は信頼できる専門店でお求め下さい。真の専門店であれば、お茶に関するご質問には、責任を持ってお答えできるはずです。それが出来てこそ専門店です。
 では信頼できる専門店はどこにあるか?それはお客様ご自身でいろんなお店を巡られ、ご自分の目と耳でお確かめ下さい。ご自身に合うお店がきっとあるはずです。

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