壽ぎの一服
初春を祝う茶飲み話二題
大福茶(おおぶくちゃ)のこと 家庭で味わう新春の一服
  京都では、古来より新年三賀日(または松の内)に、一年の邪気を払い新年を祝福するために、家族各々の湯呑に「小梅・昆布(結び昆布)・黒豆」等を入れ、大福茶を注ぎ、お屠蘇の前後に祝い服する風習があります。
 天歴五年、京の都に疫病が流行した折、六波羅密寺の空也上人が深くこれを憂い、観音菩薩を造り車に乗せ自らこれを牽いて洛中を回られ、観音様に供したお茶を病者に施与されたとか。それが為に平癒した者が非常に多く、ほどなく都から疫病が退散したと伝えられています。
 その後、この功徳にあやかる意味をもって、村上天皇は毎年元旦にお茶を服されましたのを、「王服茶」(「おおふくちゃ」、または「こうふくちゃ」)と称し、皇服茶・大服茶等等の字もあてられた後、何時しか縁起の良い「大福茶」となって、今日に至りました。つまり、決して「だいふくちゃ」とは申しません。
 元禄九年「本朝令鑑」によりますと
 本邦正月元旦鶏鳴に早起きし(中略)碾茶(てんちゃ=臼で挽く前の抹茶)の中に梅干し一個入れて飲む。呼んで大福と称してこれを祝う。福服和訓通じ叶うの義なり。これ本邦王より庶民に至るまで歳初の佳例となす」
とのくだりが見受けられます。
 現代では、上記碾茶に代わり、ズバリ「大福茶」と呼ぶお茶が用意されております。お店お店で、色々と異なります。勿論普段使いのお茶としてお楽しみ頂けます。
 お茶に入れるものは、各ご家庭で異なるようです。上記の他におせちの中からいろいろお試しいただくのも一興かと存じます。
 要は新年を寿ぐ気持ちが大切です。
初釜のこと ちょっと背筋を伸ばしてご挨拶
 大福茶が家庭で味わう新春のお茶なら、初釜はちょっとあらたまったご挨拶の場です。
 一年の始めに、上品ながらも華やかなしつらえのもと、多少の緊張感を持って、新年のご挨拶をするのは心地よいものです。
 「堅苦しいからイヤだ」などとよく聞きますが、その「堅苦しさを楽しんでやれ」と開き直れば、快適な空間に変わります。
 元来茶会というものは、初釜に限らず決して堅苦しいものではありません。なぜなら、招く側(亭主)、招かれる側(客)が一碗のお茶を通じてひとときを心地よく過ごすことが何よりだからです。
 亭主は、お客様の顔ぶれを思い浮かべ、どのような趣旨で茶会を開くかを考え、悩み且つそれを楽しみます。
 勿論、時として大変緊張感の強いお茶会(お茶事と言います)もありますが、それは主客共々それなりの心得がある場合です。つまり、経験の浅い方をお招きする場合は、当然その方が堅苦しい思いをされないように計らうのが亭主の器量です。ですから皆さん!もし茶会へのお誘いを受けられましたら、思い切ってお出かけになってみてください。分からないことは分からないでいいのです。ただ、分からないまま帰るのでなく、「謙虚に教えを請う」気持ちだけ持てば、きっと新しい世界が開けることと存じます。失礼ながら、もしあなた様がお茶をよくご存知ないのであれば、亭主側はわきまえておりますのでお気になさらずに!


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