刃物雑学あれこれ

●クイズ (その1・保証仕候)
当店の店内には、「切味は責任を以って保証仕候」と書かれた看板ありますが、さて、「切味は責任を以って保証仕候」の「保証仕候」は何と読むのでしょうか?

ほとんどの方は、「ほしょうしそうろう」などとお読みになるのですが、さすがに明治生まれのお客様は「ほしょうつかまつりそうろう」と正しく読んでいただけます。



ほかにも「切味請合」と書かれた看板もあります。
こちらは「きれあじうけあい」と読みますが、読んで字の如し、刃物屋が切れない刃物を売っていたら、すぐにお客様から叱られるのは当たり前です。


看板に恥じないプレッシャーを感じつつ商いをさせていただいております。


●クイズ (その2・金偏尽くし)

お寿司屋の湯のみなんかによくある魚偏尽くしの漢字がずらっと並んでいるのがありますよね。うちは刃物屋なので金偏にしました。

みなさんは、次の金偏の漢字をいくつ正確に読むことができますか?


まずやさしいところで、

@針 A釘 はどうでししょう?

はい、答えは@はり Aくぎ
です。

簡単でしたか?



続いて、

B鉋 C鋸 D錐 E鎚
F鑿 はどうです? 

ヒントはどれも大工道具です。

答えは 

Bかんな Cのこぎり Dきり 
Eつち Fのみ 


鑿は特に複雑な漢字でちょっと難しいですね。


では、

G鋏 H鍵 I鉈 J鉞 K鏝 L鍬 M鋤 N鎌 O鏨 P錆 Q鑢 R鋲 
S鉾 さて、どう読みますか? 
 
答えです、

Gはさみ Hかぎ Iなた Jまさかり Kこて Lくわ Mすき Nかま 
Oたがね Pさび Qやすり Rびょう Sほこ でした。


あなたは20問中いくつの正解がありましたか?
●「とんちんかん」な話

見当違いなことをすると、「とんちんかん」といわれますが、実は鍛冶屋さんから出た言葉だそうです。

鍛冶屋さんは師匠が火床に近い場所にかまえ、2〜3人の弟子が向こう鎚を打ちます。

火床で赤めた鉄を金床の上で、鉄がまだ赤いうちに素早くお互いに鎚で打ち合うわけですが、その響きは「トンテンカン」、「トンテンカン」というリズムになります。

ところが、ひとりでも経験が足りないと呼吸が合わずにそのリズムが狂い「トンチンカン」といった調子はずれの音になってしまいます。

ここから、見当はずれなことを「とんちんかん」というようになったそうです。

この他、鍛冶屋の用語で「相槌を打つ」という言葉がありますが、鎚を打つときにお互いの呼吸がぴったり合うことだそうです。今は話の調子を合わせることですが。

刀に関係した表現もよく使われます。例えば、「鎬(しのぎ)を削る」「鍔(つば)競り合い」「切羽(せっぱ)つまる」「反りが合わない」「元の鞘(さや)におさまる」とか。

他にもいろいろ切れ物に関連した言葉を収集しているとなんだか面白いです。
● 切れ味とは(切れる原理)

切れ味は、切れる味と書くのですが、一体どういうことなのでしょうか。

例えば、試しに新聞紙1枚を左手に持って(*左利きの人は右手に持って)庖丁で上から下へ切ってみましょう。その時、少し手前に引くように切ると上手く切れると思います。

あまり切れない庖丁だと、切れている途中でひっかかったり、または、ザラザラという音がして抵抗感があったりします。

一方、よく研ぎすまされた庖丁の場合、あまり音もなくスパッと切れます。

切れる原理は、刃先を10倍から20倍のレンズで拡大して覗いてみるとよくわかりますが、細かい鋸(のこぎり)の刃のようになっています。


大根やトマトを切ってみるとよくわかると思いますが、真下に切り下ろすのではなく、少し手前に引くか、または向こうに押し出すように庖丁を動かすとよく切れます。

まるで鋸を引いて使うことと一緒で、この引き切ることが切れる原理のひとつです。

もうひとつの原理は、引き切る時の刃の断面が、真下に切り下ろす時の刃の断面よりも角度が小さくなります。そのことによってより鋭利になるというわけです。

物を切るときの感覚でこのザラザラ感や無抵抗感が即ち切れ味感覚なのでしょうが、人によってその感じ方が多少違うのはどこか舌で感じる味覚と似ていると思いませんか。
● 庖丁のメンテナンス(研ぎ)について

普通、庖丁は長い間使用すれば、刃先が摩耗し切れ止みます。目安は使用頻度や切り方によりますが、研いだあと約1カ月位で、この状態になります。

例えば、よく切れる庖丁では玉葱を切っていても目にしみることはありません。玉葱が目にしみたり、トマトの切り口がくずれてしまうようであれば、そろそろ庖丁を研いだほうがよいでしょう。

家庭で研ぐ場合は、荒砥石(#200〜300番位)と中砥石(#1000位)を用意し、水をかけながら庖丁を砥石でこすって研ぎます。そのとき、手を切らないよう十分に注意して下さい

研ぐ場合の庖丁の握り方や砥石と庖丁の角度や動かし方といった、ちょっとしたこつがありますが、研ぎは理屈よりも体で覚えるものですから、まずは庖丁研ぎに挑戦なさって下さい。

研いでかえって駄目にするのではとのご心配もあろうかと思いますが、研ぎ方等につては刃物専門店でお尋ね下さい。もちろん、当店へもお気軽にご相談下さい。

機会があれば、次回にもっと詳しい庖丁の研ぎ方を掲載したいと思います。





源久秀刃物店
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