「そば」は日本の伝統食品であると、よく言われます。でもその歴史については余り知られていないのが実状ではないでしょうか?
文献に「蕎麦」の文字が最初に出てくるのは「続日本紀」で養老6年の頃です。でも初めのうちは米と同じようにそばの粒のまま食べてていたものと想像します。水車が導入されてそば粉の状態になってからも水や湯で練った、いわゆる「だんご」の形で食していた期間が長かったように思われます。
今のような細長いひも状の形になったのは、これも文献上では江戸時代に入ってからてす。この頃は「蕎麦切り」と呼んでいました。そば粉だけではつながりが悪いのでつなぎ(小麦粉)を2〜3割程入れて作られた、いわゆる「蕎麦切り」は瞬く間に江戸中で大流行し現代に至っています。

つい最近まで(特に関西では)そばは黒いもので白いものは混ざりものが多いのだと信じ込んでいる方がいらっしゃいました。
確かに石臼でしか粉をひけなかった時代には当たっていたことかも知れませんが、現代では段階別に粉の種類を選別出来るので白いのから黒い粉まで、作り手と食べる人の好みに合わせて選べるのです。ちなみに黒い粉は香り強く野趣に富んでいて、いわゆる太打ちの田舎蕎麦等によく使用され、白い粉はやや香りには欠けるものの、のど越し良く繊細で細打ち麺として食される場合が多い。

皆様よくご存知の京都の北東、比叡山延暦寺。その修行の厳しさで全国に知れ渡っています。なかでも「千日回峰行」といわれる修行は大変な荒行です。この行の中には「断食、断水、不眠、不臥」に先立ち「五穀断ち」を行いす。「五穀」とは米、大麦、小麦、大豆、小豆を言いますが、もともと延暦寺の僧は肉や魚介類などの動物性食品は禁じられているのです。それなのに五穀を断つのですから栄養は何から得ているのでしょう?
実はそばと野菜からだけで身体を維持していたのです。この蕎麦の栄養素の驚くべき豊富さ!現代では科学的に追々その成分が究明されていますが、そばの底知れない栄養素や成分はまだまだ未解明の部分もありそうです。
でも、日本人の知恵って素晴らしい!……この蕎麦に関してだけでもそう思いませんか。

蕎麦には、栄養学的に見ても成分のバランス良く、他の穀類や豆類と比べても良質のタンパク質が多いのが特徴です。特に重要なアミノ酸、リジン、トリプトファン、メチオニン等多く組み合わせも優秀です。ビタミンB群も豊富でこれらの作用により、つやつやしたお肌を保つことが出来るのではないでしょうか。

蕎麦の効用で比較的有名なのは、ルチン(ビタミンP)の作用でしょう。ルチンは血管を強化して血圧を下げたり、動脈硬化の予防に効果があります。ですから一日一食そばを食べることにより成人病予防に役立ちます。

最近ワインの成分に含まれるポリフェノールが老化を防ぎ若々しさを保つことで非常に騒がれましたが、日本には古くより蕎麦を食べることにより長寿を招く……と言われていたとおり最近の研究により蕎麦の成分にもポリフェノールが含まれていることが解ってきました。やっぱり蕎麦ってすごい!

今、NHKの大河ドラマ北条時宗に出てくる謝国明、日本名綱首謝太郎国明という大商人が、ある不景気な年の暮れ飢えに苦しむ博多の民にそば粉を配ったのが晦日そばの始まりと言い、以後謝太郎の威徳を偲んで毎年蕎麦を食べるようになったとある。
しかし蕎麦切りの発明以後、その形状から細く長くの長寿祈願の意味も込めて年の瀬に食べるようになったものと思われる。
年越しそばは年の節目すなわち節分に食べる蕎麦を言い、数年前までは特に京都では主流であったように記憶するが、晦日蕎麦が主流になった今日、巻きずしの恵方に向いての丸かじりに変わったのは、返す返すも残念だ!

以上で述べたごとく、蕎麦には計り知れない身体に良い成分が含まれていますが、元来そばに含まれる成分はほとんどが水溶性ですから蕎麦を食べた後には必ずそば湯を入れて飲んで下さい。
ほのかな蕎麦の香とその店独自のダシの機微まで味わえるでしょう。




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  本家 田毎 店主  堀部勝也

平成10年度 「京の現代の名工」受賞
麺料理では初の受賞である

■三条本店
   所在地  三条通寺町東入
   電話番号 075-221-3030
   定休日   無休
   http://www.tagoto.com/
   e-mail info@tagoto.com

■府庁前店
   所在地  京都府庁正門前
   電話番号 072-255-7775
   定休日  土曜日

■営業時間
   午前11時〜午後9時まで