昔から京都では,御所を中心とした考えが、私たちの生活の中にしっかりととけ込んでいます。例えば、お雛様の男雛、高砂人形(尉と姥)も男が向かって右に飾ります。これは御所の紫宸殿に立ったとき向かって右側に朝陽が当たるためで、また雛人形の桜や橘も御所に合わせているため他所の地方とは反対に並んでいます。これ以外にも御所に向かって右が左京区、左が右京区とこんなところにも京都らしさが感じられます。

また京都ではよくお祝いは吉日(大安、友引、先勝)の午前中にとよく聞きますが、これはもともと先様に対する心遣いから生まれた作法で祝事のある家でも昼からは遠慮なく外出ができるように、そして午前中だけの拘束で済むようにというところから生まれた作法のひとつです。京都のしきたりには、こういった相手に対する心遣いから生まれてくるものもたくさんあるのです。
京都ではお葬式、年忌、法事にかかわらず黄白の水引のかかった金封を使用するのがもともとで戦前には紅白水引が祝事に使用する最も格の高いものでした。この紅白は赤白ではなく玉虫色(深い松葉色)一見黒白と見間違えます。そのため昭和40年代半ばまで京都ではほとんど黒白金封というのは販売もされていませんでしたが,現在ではお葬式へ行っても黄白の金封は数えるほどしか見かけません。これは京都人としては少し残念な気がしてなりません。

ちなみに表書きも“御香奠”とは書かず“御佛前”と書くのが京都式です。またお祝い袋の“のし”は目出度いときにつけると一般的に思われていますが、本来“熨斗(のし)”は鮑貝の肉を長くのばしたもので"延命"に通ずるもので、古来より長生不死の妙薬としても珍重されてきました。

ところが最近ではお見舞いを送るときには“のし”のない金封でという事が一般的になっていますが、本来の意味からすればお見舞いであっても“のし”をつけることが正式なのです。このことも残念ながら「黒白と黄白」と同じような現象といわざるをえません。

以上のようにほんのごくごく一部ですが京都にはこれ以外にも数え切れないほどの色々なしきたりやこだわりがありますが、そのしきたりやこだわりがあるからこそ、スムーズに事が運ばれていることをわかっている人は少ないと思います。なぜならみんながみんな好き勝手な事をすることは逆にみんなに迷いが生じる結果となり表面的には堅苦しく思えるこの京都のしきたりや作法がポイントさえおさえる事によって以外と楽なマニュアルになったりするのです。

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